八月八日、セビリア、スペイン広場
朝、早めにホステルを出る。具体的な時間は忘れた。バス停に着くと長蛇の列が出来ていたので、クレジットで買えるベンダーを使う。凡そ?20。距離的にはマドリからコルドバの方が有る気がするのだが、此方の方が高い。非効率的な回り方をした所為だろうか。仕方ない。
セビリアに着くも、観光案内所も何も無い。バス停にも地図が置かれていない。仕方ないので取り敢えず市街地の方へと歩いて行く。つい先週、セビリアでは気温が四十八度に達していたらしいが、僕が訪れた時は其処まで酷くなく、コルドバの方が暑かった。その時期がこの夏一番の暑さだったのだろうか。これ以上暑くなるのであれば、死んでしまう。
ホステルを探すも、中々見付からない。途中公園のベンチに座り休んでいるときに、隣に座ったお爺さんに聞いてみるも、判らず。取り敢えず観光案内所の場所だけ教えて貰う。
その後は暫くそのお爺さんと話をしていた。イギリス出身らしいが、十九の時に家を飛び出し、アメリカへ一人乗り込んだらしい。仕事をして、そこそこの役職に就くも、自分が本当に何をしたかったのだか、判らなくなったらしい。そこで車やら家やら全部を売り払って、バスとヒッチハイクで南アメリカへ旅立ったのだとか。その後も紆余曲折を経て、今はセビリアに住んでいるらしい。
爺さんは云った「君は正しい選択をした。若いうちに旅に出て、色々な人と出会い、色々な物を見る。それはとても素晴らしいことだ。君は私の様な年寄りに出合ったと云う事を、きっと忘れない。街を歩いて、世界を見て、人を見て、それらはずっと、君と共に有る。」書いた通りに云った訳ではないが、そう云う内容の話をした。
正にその通りだと、僕は想う。この旅を始めて、今(執筆時)で三ヶ月、丁度九十日が経過した。「たった」九十日である。その間に、僕はどれ程の人々と出会っただろうか。
同じ様に旅をしている人間。一日しか話さなくても、好い友達だと想える様な奴も居る。偶然目的地が一緒で、暫く一緒に旅をした奴も居る。出会ってほんの数時間だというのに、其々が胸に抱く想いを語り合った奴らも居る。旅先で出会い、彼らの地元を訪れた時、昔からの親友のように扱ってくれる奴らが居る。
街で出会う人々。無償の優しさを分けてくれた人々が居る。人生の先輩として、話をしてくれる人々が居る。異国から来た旅人を、温かく見守ってくれる人々が居る。
ほんの数秒の会話から、何日にも渡る会話まで。下らない話題から、想いの内まで。
きっと中には、其の内忘れてしまう事も在るだろう。忘れてしまう人々も居るだろう。ただ、忘れたとしても、それらの想いは僕の中に在ると、僕は信じている。人間は対話を行い、会話を行い、情報を共有し、感情、感動を共有し、其々が其々の中に、無限に生きる様にして生を繋げて行くのだと想っている。僕は彼等に影響を与え、彼等は僕に影響を与える。そしてその連鎖が止まる事は、決して無い。
人生の糧として、知識として、人に於ける根本としての情報として。
人々に出会い、世界を見る。人間と云う種族が此れまでに築き上げてきた物と、此れから築き上げていく物を見る。僕が見ている世界が、例え限られた世界だとしても、知り続ける意思が大切なのだ。
人が何処に神秘と真理を見出すか、其れは其の人の自由だ。僕は芸術、美術、建築、人々が美を追求し続けている世界に真理を見出す。だからアートを見たいと想うのだ。そして世界は、アート其の物だ。街を見る、世界を見る。其れは自然其の物であって、人間其の物だ。
人々は何かを作り続ける。具現的に存在する物質、エネルギーを使い、意思と云う概念的なエネルギーを以ってして物質を変化させる。そして意思を持って形作られた物体を見ることに因って、彼等が其の時に想い描いた「何か」が見える気がするのだ。アートとは世界其の物で、人間其の物だ。だから素晴らしいと、僕は考える。
話が飛躍している様に見えるが、自分の中でそれらの事は全て繋がりを持っている。物質的な事柄以外に存在する、概念的な精神や意思と云った世界。人々との繋がりと、アート、世界其の物は、僕にとって何の違いも無い。
こう云う考えは何と云うのだろうか?きっと同じ様な事を考えた人間も居る筈だが、勉学に疎い僕は知らない。
休憩がてらに写真でも。
その後どうやってホステルを見つけたのだか、余り定かでない。街にある地図でも見たのだろうか。兎に角、何とかホステルに到着。
が、其処で問題発生。僕はネット上から予約を行ったのだが、其の予約が無い、と云われてしまった。幸い部屋は空いている物の、僕の見ていた情報とは全く違う条件だった。どうやら普通のホテルらしく、一人部屋が?35するらしい。ウヴォェ、と云う感じである。高いし。然も汚いし。Perpignanで泊ったホテルと同じ値段の癖にあっちの方がよっぽど好いぞ!と想っていると、?20にしてくれると云う事だった。ネット上だと?15で、個室じゃなくて相部屋の筈なんだけど…。と想いながらも、他のホステルは全て埋まっていたので、其処に泊ることに。一泊だけして、二泊目は他のホステルに移ろうかとも考えたのだが、めんどくせぇ!と云う気分になってしまったので、結局二泊した。
然しまぁ、個室は好いのだが、部屋は汚いしトイレシャワーは共用で、然もユースホステルの方が綺麗と云う有様だった。他が埋まっているので仕方ないが…。と想いながら、取り敢えず荷物を残して外へ。
と云うわけで「HostelClub」と云う名のサイトの情報は今後信頼しないことにした。予約の時にチャージも?3程取られた筈だが、ほぼ確実に返って来ないし。余程困った時だけにしようと想う。
ぶらぶらと街を歩いて、旧市街地を見て回ったのだが、今一面白くなかった。コルドバ、グラナダと見た後だったので、見劣りしてしまったのかも知れない。写真はスペイン広場(Plaza de Espana)マドリッドのスペイン広場よりも相当豪華なのだが、街の規模と広場の規模は関係ないらしい。
あ、そう云えばこの空、雲があるな、と想った。基本的にスペインの空は雲一つ無い空ばかりだったので少し退屈だったのだが、セビリアは偶然か雲がある。雲の無い空は、星のない夜空の様だと想う。何処か味気ない。
然し豪華なものである。
大聖堂。この時は既に閉まっていた。
何だか城らしき建物も有ったのだが、今一気分が乗らず這入らなかった。多分暑くて疲れてたんだろうと。
オレンジジュース、で御座いますね。畏まりました。
ホステルを探すために街を歩きまわった所為か、妙な疲れがあったのでホステルに戻る。部屋で何をするかなー、と考えた末、「RD潜脳調査室」を見る事にした。一度テレビ放映を見た時に「ヒロイン丸いなオイ」と云う感想のみを持って終わったのだが、IGだから面白いだろう!と云う事で見てみる事に。攻殻機動隊よりも後の時代、パラレルワールド的な形らしく繋がりは無いが、似たような世界観がある。好きだけど、ヒロインが海でだいぶする時、実写を使うのは止めて欲しかった…。下手に金が有ると駄目ですね。海と意識世界を繋げて考えたり、面白いなぁ、と想う。
結局遅くまで起きていた。三時頃に眠る。