朝、十時頃に起き、朝食を済ませ、荷物を纏めてチェックアウト。駅まで向かい、十一時半の電車でチェスターへと向かう。
電車でどれ程掛かったのかは忘れてしまった。駅に着き、ホステルを目指して歩く。十五分ほど歩いて到着。チェックインを済ませ、町へ向かう。
そう云えばホステルには一匹の茶色い犬が居た。やけにフレンドリーな犬で、全く人見知りをしない。わしゃわしゃと撫でてやると、すぐにコロンと腹を見せた。警戒心の無いやつめ、うりゃ、うりゃ、などと。
写真は次の日に撮った。眩しいのかえらく不細工になっている。その二日間は、日差しの暖かい、穏やかな好い日であった。
ホステルを出る時に、家主の女性(関係無いけど妊婦さんだった)が「ホステルの裏から歩いていくと、運河沿いに街まで出れるよ。」と教えてくれたので、裏手に回って運河沿いを歩く。
ずうっと歩いて行くと、壁と橋が現れる。この時には気付いていなかったのだが、この左手の壁が、実はもう昔の城壁らしい。高さがかなり或るのだが、古い時代から残っているので、周囲の高さが上がっているのも関係しているらしい。各時代で壁は足され、高さを増す。運河沿いの低い土地から見ると、10mは軽くあるような高さだ。
薄暗い場所だが、陰気な感じでもない。散歩している人も多かった。
右手には川沿い定番の鴨、左手には小さな林にリス。町の雑音は余り聞こえない。運河は其れほど綺麗でもないが、好い散歩道だ。
確かこの公園に這入る前には、既に城壁の上を歩いていた様に想う。川沿いにずっと歩いていくと、街とは逆方向に出てしまうからだ。
多分学校。
特に何も考えずに、城壁沿いに歩いていくと、街の東端(だったと想う)に或る川に出た。こちらは運河では無く、幅の広い川だ。鳥が多い。人になれている所為か、かなり近くに寄っても逃げない。因みに僕のカメラはGRII+ワイコンなので、広角18mm(確か)、当然ズームはない。其れを踏まえた上で見る人が見た場合「結構近くまで寄ってる」のが判って貰えると想う。
川沿いに歩いた先の吊り橋。
川沿いのベンチに腰かけ、少し休む。この日はとても暖かく、ジャケットが要らない程だった。家族連れや、老齢の夫婦、犬とジョギングしてる人、みんな日差しを愉しんでいた。
川の近くは車も少なく、聞こえるのは鳥の鳴き声と、川の流れる音、後は愉しげな話し声だけだ。日差しが暖かくて眠たくて、丸で春の様だった。
ふわふわと歩きながら街の方向へ向かう。途中でローマ時代のコロシアムを見たり。
教会に這入ったり。
外観。
ローマ時代の公園、らしい。
特に何も考えずに歩いていると、チェスター大聖堂に到着。
中に這入ると入り口からかなり綺麗な造りになっていて、「え、この整備された状態で無料!?」と想ったらばっちり金とられた。
しかし金を取るだけあって豪華だ。オーディオガイド(英語)も着いてくるので、這入る価値はある。
天井が高い。
昔は法廷として使われていた場所らしい。まぁ、法と云うか宗教だが。
抽象的なステンドグラス。最近の教会では具体的な絵を使うよりも、抽象的な物の方が多い。見ていて愉しい。
人間の脳ってのはすぐに慣れてしまうものだから、こう云う巨大な建物を見ても驚く機会が減ってしまう。冷静に考えてみたら、このサイズの建物が数百年前に造られた、と云う事実が凄まじい。何気なく見ている様な建物でも、よくよく考えてみたら、自分がどれだけ巨大なモノに囲まれて生活している事か。高いビルの無い京都から出て東京やら大阪やらのビルの高さに驚く様なもんだが、にしても人間の慣れってのは便利で、また厄介な物だとも想う。
そんな事を、写真を撮った時に柱の近くに居たこのおばあちゃんを見て想った。見慣れて反応しなくなってしまっただけで、実際は馬鹿みたいにでかいんだ。何もかも。そして今でさえそう感じることの出来る物が、数百年前の人々にどう映るかって考えてみると、其れだけで恐ろしくもなる。
ぽつぽつと現れるガイドを聞きながら歩く。
この装飾、どれくらい前の物なのだろうか。比較的新しいかも知れないから恐ろしい。
大理石の柱が綺麗だ。
内部に這入ることは出来なかったが、何か特殊な場所らしい。説明を忘れてしまったが。
教会内をうろうろ。
中庭が結構綺麗で、出たいなぁ、と想ったのだが、何処からも出れなかった。
通路。
正面から。でかい。日が沈み始めている。
その後は暫く街をうろうろ歩く。この建物は、なんだったか。
あぁイギリスに居るんだ、と想わせてくれる容貌の建物。
歩き疲れたのもあって、街を後にする。ホステルまで戻り、夜はカナダ人とイギリス人と、三人で話をしていた。カナダ人は確か同い年で、ヨーロッパを旅しているらしい。確か一ヶ月程だと云っていた様に想う。もう一人のイギリス人も旅の途中。彼は山登りや自然を見るのが好きらしく、オーストラリア人と二人で、チェスターからマンチェスターを抜け、湖水地方まで歩いた、と云っていた。ルートは確かでないが、普通に数百キロは或る道程だった筈だ。「其のお陰で靴底が殆ど無くなってね」と云いながら見せてくれた靴は、踵の部分が綺麗に消え去っていた。単純に街から街ではなくて山登りも兼ねて行ってるんだから、タフなもんだ。
因みにこのカナダ人、後に出会う別のカナダ人の友人である。正確には、僕が後に湖水地方で出会うカナダ人と、この時出会った彼はリバプールで巡り合う。旅の巡り会わせとは面白いものだ。無論、この時の僕はそんな事を知る由も無い。
三人で色々と話をして、途中で映画を見た様に想う。何の映画だったか、確かクレイアニメで有名な監督の…。名前を失念してしまった。
何はともあれ、話をしたり映画を見たり、愉しく緩やかに過ごす。夜は一時頃までカナダ人と話をして、僕は遅くに寝た様に想う。