十月二十七日、スターリング、墓地、雨、Art Gallery

2010.01.15

昼前にはホステルを出て、電車に乗り、Stirlingへと向かう。片道四十五分程。

ホステルは駅の直ぐ近くで助かった。チェックインを済ませ、荷物を残して街へ。

特に地図も持たずにぶらぶらと歩いて行くと、教会と墓地が見える。教会は閉まっていたので、墓地を見る。墓地に入ったあたりから雨が降り出し、かなり強くなっていた。

091027_154612

墓地から見た教会。落ちた枯葉と空の薄暗さ。中々雰囲気がある。

091027_155123

小さな丘になっている場所が有ったので、登ってみる。墓地と城を眺めることが出来る。

091027_155240

街とは反対の方向を眺めると、広大な土地が広がっている。

傘を差したまま、丘の上に置かれていた石碑を見る。地図が彫られており、古い時代に戦争の起きた地点が記されていた。地図を頼りに実際の景色を眺める。其処にはただ緑の芝地が広がっていた。

雨ガッパを着た、おばあちゃんとも言えるような年齢の女性が丘を登って来た。

「歴史に興味があって来たの?」と訪ねられたので「いえ、ぶらぶら歩いてるうちに辿り着きました。」と答えた。

「私は歴史に興味があってね、こうやって色んな跡地を巡るのが趣味なの。」

そういった事を彼女は云った。僕は笑顔で会釈して、その場を去った。

墓地を抜けて、城へと這入る道を進む。

そしてStirling Castle、スターリング城へと這入った。は、好いのだが、正直な所這入るべきじゃなかったと想う。何しろ内部の建物はすべて改装済みで新しくされており、一部の建物は修復中で這入れなかったからだ。正直な所、見どころが無い。その割に入場料は確か£10程した記憶がある。

適当に見て周り、城を後にする。

少し街を歩いてみる。城から街まで至る道は古く、目に楽しい。が、生憎の雨だ。

ふらふらと歩き、看板を頼りにArt Galleryの方角へと向かう。

 

091027_174712

到着。美術館も兼ねていたのか、それとも美術館だったか。

Kenneth Le Riche / Shimrit II, 2004

Kenneth Le Riche / Shimrit II, 2004

John Barber / Light and Shade

John Barber / Light and Shade

一つの大きな部屋に作品が数多く展示されているだけだったのだが、中々楽しめた。

奥の空間は歴史博物館になっており、古くからの道具や生活の様子などが展示されていた。美術館内のスタッフが、如何にも地元の人々と云う感じでとても良かった。スコットランドの人々は人柄が好いように想う。

その後はホステルまで歩いて戻り、夜まで色々と作業をしていたらしい。恐らくサイトの作りでも変えていたのだろう。夜は遅く、深夜三時頃に眠る。

十月二十六日、夢、市街地、Gallery of Modern Art、言語的クオリア、墓地

2010.01.14

こんな夢を見た。

何処かの湖の上で、色々な人達と一緒に小さなボートに乗っている。皆が楽しそうにボートから飛び降りて、湖に這入って行った。其れを追うようにして、僕も飛び込む。

皆で一緒に泳いで、岸の方へと向かう。そして岸に着いたのだが、僕はまたボートの方へと戻って行く。足にヒレが付いたかのように、スイスイと泳ぐ事が出来た。

ボートの近くで、二人の男性がまだ泳いでいる。潜水をして遊んでいるらしく、深くへと潜っていった。僕も彼らを追って、息を吸い込み潜る。

湖は深く、底は全く見えない。そして真っ暗なのだが、水が綺麗なのは分る。魚は一匹も居らず、遠くに、先程の二人が見える。僕はただ其れを追って行く。

気付くと、湖の底に有る洞穴へと着いていた。そしてその周囲だけ、妙に明るい。透明で鮮やかな水色をしていて、底の岩が光っている。壁の一部分、下の方を見てみると、小さな光るクリスタルが有った。その奥には水晶玉のような物が有る。

どうやら、その小さなクリスタルから出た光が、水晶玉を通して、辺りを照らしているらしい。よくよく見てみると、透明な何かに阻まれて、床一面にはクリスタルが有った。だがそれらは光っておらず、光っているのは先程の一つだけらしい。

クリスタルの輝きは、本当に美しかった。柔らかでありながら鮮やかで、透明な、透き通った水色だった。

その後本当はもう少し続くのだが、世界観が変わっているので、恐らく別の夢だろうと想う。続きはゲームのような世界だったのだが、恐らくこの時に見ていたアニメか何かが影響したのだろう。

さて、日記。

朝、九時半頃に起き、見た夢のノートを取る。その後準備をして街へ。

ぶらぶらと歩いて、昨日訪れたCenter for Contemporary Artsを再度訪れたのだが、「Close to Public」となっていて這入れなかった。マジでか…、等と想いながら、仕方ないのですぐ近くのThe Glasgow School of Artへと向かう。入口が判りにくくて、と云うか複数あって困った。どうやら建物自体特色の有る場所らしく、ツアーが行われていたらしいのだが、そんな事は露知らず、特別展だけを見る。

其の時の特別展は「浮世絵」。おうおう、スコットランドまで来て浮世絵の展示を見る日本人て、何だそれ。等と想いながらも見る。とは云え、百年以上前から現代に於いてまで、西洋の芸術に多大なる影響を与え、ジャポニズムと云う”ism”にすらなってしまう文化。なんだか凄いなぁ、と想った。

個人的には日本の芸術に影響を受けた作品は非常に好みだ。やはり根本的な部分における好みとして、日本的な何かを感じるのかも知れない。特に油絵に於いて、その好みは顕著となる。

美術展を見た後、街の中心部へと歩いて行く。電源から直接iPod Touchを充電出来るようにしたかったので、USBのアダプターを探していたのだが、なんだかこっちだと異様に高い。日本だと普通に500円程度で売っているのに、こっちだと普通に£30とか£40とかするのは何故?

何にせよそんな高い金を出してまで欲しい物ではないので、何とか安い店を見つけ出そうと街を歩き回る。

そして最終的に、パーツの類が売っているような、日本で言う所のドスパラみたいなのが見つかった。ドスパラて!まぁどうでもいいが£10程度で購入。しかも無駄にUSBポート二つ、尚且つUSBから給電しつつ、ノートPCにも繋げる!みたいな奴。

ついさっきまで「日本の芸術に影響を受けた…」とか書いてた人間が即刻書く文章じゃないな。まぁいい。進む。

街の中心部近くにGoMA、Gallery of Modern Artが有ったので這入る。

一階部分の展示が非常に良かったが、撮影禁止の為写真は無い。更新時に憶えていればネットから画像でも拾ってこようと想うが、憶えているかどうか。

William MacCane / Conflict, 1922

色、映り込む影、白み行く。

Andrew Bick / Shared faded moment, 1998

朝靄か、夕暮れの中に描かれる曖昧な世界。淡い色に、霞んだライン。重なるようにして手前に現れる。

Victoria Morton / Compartments for Lsis, 2007

包み込まれた有機的な空間の中、壁は蠢き彼女を映す。色の流れが塊となって、押し寄せる。

John Schueler / The Search : Black Shadow Blues IV, 1981

穏やかな日暮れの青。丸みを帯びた光。伸びる影。空は何処までも突き抜ける。

Jonh Houston / October Sunset, 1973

燃える紅、赤、オレンジ、黄色。世界と海を太陽は燃やす。低くて重い雲が空を隠す。微かな青。世界の消え入る縁の時。

幾つか言葉が気に入ったのでメモ。

“Colour is like a scent. It is incredible, like a chord struck on a harp in the darkness. The colours must sing together, very much like notes in music. A mingling of wavelengths in light or in sound. If a work is to be of any value it must convey something which transcends material.”

Alan Davie

「色は匂いの様なものだ。まるで暗闇でハープが和音を奏でる様に素晴らしい。音楽の中に於ける音符の様に、色もまた共に奏でる(共に歌う)必要がある。光としての波長の混和か、音としての波長の混和だ。もし作品が何かしら価値を有するなら、物質の範囲を超えて何かを伝えなくてはならない。」

"If a work is to be of any value"って、何て訳せば好いんだ?こういう時に文法的な知識が無いと困る。「何かしら価値を有したいなら」だろうか?英語力の無さが悔やまれると居うか、ちゃんと勉強しとけばよかった。

もう一つ。

"For me nature is not landscape, but the dynamism of visual forces – an event rather than an appearence – these forces can only be tackled by treating colour and form as ultimate identities, freeing them from all descriptive or functional roles"

Bridget Riley

「私に取って自然とは風景(地形)ではない。それらは視覚化された力の躍動―表れよりも事象(表面化した姿よりも出来事、イベント)―であり、それらの力を扱うには、色と形とを究極的、根源的な個の存在として扱い、説明、記述的な事柄や、機能的な役割から解放する事が必要になる。」

こういう文章は特に和訳するのが難しい気がする。何しろ感覚的、精神的な部分を語っているので、彼らにとっての"Landscape"は「風景」とはならないし、"Sing"は「歌う」とならないからだ。"Landscape"は"Landscape"だし、"Sing"は"Sing"だ。言語に於いて其々の単語が持つ意味は、翻訳不可能だと想う。其々の単語に於いて各文化の受け入れ方があるし、使われ方がある。翻訳は、あくまでも意味を変化、変質させた上で、文化の異なる人間に対して「伝える」方法でしか無い。そしてそれではクオリアは伝わり難い、いや、伝わらないかも知れない。

芸術は、いや人間はだからこそ面白いのだと想う。互いに異なる環境を持ち、その上で育まれた文化による五感(若しくは其れに基づく上位の感性)と技術とをもって、自己や社会、世界を表現する。そして世界が広がった時、その芸術は交わる。新しい影響、技術、感覚をもって、芸術は変わり続け、人々と世界の変移を真摯に見つめる。

言語的なクオリアから話を広げ過ぎかも知れないが、芸術に於いて重要な点は「理解、模倣、変化、発展」と云った部分であり、その可能性は、真の意味で無限大なのだと想う。

すべての人間が分かり合える日は、絶対に来ない。いや、来てはならない。何しろすべてが分かり合ってしまった時には、文化は終焉を遂げるだろうからだ。

精神的、知性的な独自性を持ち、常にユニークであり続ける世界が、僕にとっては理想的だ。倫理的、道徳的な観点から社会、人を語るのは楽だが、根本的な真実を追及する意味では、それらは全く役に立たない。

異なる事や、変わる事を排除してはならない。文化的な多様性は同時に生物的な多様性であり、自然の淘汰に基づく世界だ。物事は流れ続け、変わり続ける。仏教は知らないが、諸行無常とはそういう事なのかも知れない。

上手に言語化出来ないのが悔しい。これらの感覚は、自分が個として感覚を捉え、脳や知覚に蓄積された経験に基づく意見であって、全くもって正しくない。だが同時に「現時点での自分」にとっては、これらは正しい。

自分の伝えたい事が上手に伝えられる人間が羨ましい。次へ進む。

一階部分の展示を見終えた後、上階へと進む。

091026_174452

091026_174500

展示スペースの一部。

091026_174602

ガラスが綺麗だった。

091026_175131

幼児が描いたアート。

091026_175145

右上部分拡大。男の子が居る、ように見える。

091026_180434

ガラス張りのエレベーター。キラキラとした加工が施されている。

上階部分の展示は、確かBBCか何かの特別展と、ゲイやレズ、バイセクシャルに関連したアートだった。性別的な事柄に関する事も書きたいが、其れをするとあまりにも長くなるので、次の機会にする。

Michael Chateau / Internal Future, 1991

Michael Chateau / Internal Future, 1991

BBC特別展内の作品だったように想う。水彩画。

すべての展示を見終えて、外へ。一階部分の展示が特に好く、満足だった。

ふらふらと街を歩き続け、気付くと教会に着いていた。

091026_183907

然しこの時点で既に夕方。恐らく十七時半頃だ。教会は閉まっていた。

091026_184105

教会から少し歩いた処に大きな墓地が有った。

091026_184323

中々立派な墓が多かった。丘を登る。

091026_184713

街よりも少し高い。街の景色が夜景へと変わっていく。

091026_184803

091026_184910

低い空、雲が延々と地の果てまで続く。スコットランドだ。

091026_191119

日も完全に落ちたところで、ホステルまで歩いて戻る。

ホステルではパスタを食べ、夜はゲームでもして遊んでいたらしい。

十月二十五日、Glasgow University、Kelvingrove Art Gallery and Museum、The Glasgow School of Art、Center for Contemporary Arts

2009.12.18

朝、九時半頃に起きる。朝食を取り、紅茶を飲みながら今日の行き先を決める。適当に美術館でもめぐるか、と考えた後、外へ。

取り敢えずは方角だけを定め、ぶらぶらと街を歩く。今にも雨が降り出しそうな天気だった。

091025_131719

091025_132134

091025_132344

大学の敷地に這入ってみる。大きな学舎が並んでおり、豪華だ。

091025_132436

観光客っぽい人々がちらほら居たので、観光名所なのかなー、と想っていたら、観光案内用の看板まで見つかった。何となく見た目が好かったので這入ったのだが、知らぬ間に名所巡りをしていたらしい。

091025_133846

大学の敷地を越え、Kelvingrove Art Gallery and Museumへと這入る。入場料無料。

各歴史の絵画や、彫刻、陶磁器の類等も展示されている。比較的近代部分が多かったので、かなり楽しめた。特にアールヌーボー前後の作品が多かったのが好い。

091025_135140

1880年のデザインとは想えない。

EA Hornel / The Coming of Spring, 1899

EA Hornel / The Coming of Spring, 1899

Stuart Park / Roses, 1889

Stuart Park / Roses, 1889

George Henry / Autumn, 1888

George Henry / Autumn, 1888

John Lavery / Anna Pavlova, 1910

John Lavery / Anna Pavlova, 1910

個人的に好きなテイストの作品が多い。

091025_140552

建物も豪華だなぁ、等と想いながら先へ進む。

Albert Marquet / The Port of Algiers, about 1922

Albert Marquet / The Port of Algiers, about 1922

Paul Signac / Sunset, Herblay, Opus 206, 1889

Paul Signac / Sunset, Herblay, Opus 206, 1889

Claude Monet / Vetheuil, 1880

Claude Monet / Vetheuil, 1880

Edouard Vuillard / Woman in Blue with Child, about 1899

Edouard Vuillard / Woman in Blue with Child, about 1899

ヴュイヤールはやっぱり好みだなぁ、と想う。

展示されている作品は中々好みの物が多かったので、楽しめた。

壁に書かれていた一節が気に入ったので、ノートに控えた。

“Blessed are they who see beautiful things in humble place where other people see nothing.”

Camille Pissaro

まさにその通りだ、と想ったのだが、翻訳の仕方が判らない。「人々が何も見つけられない場所で、美しいものを見いだせる人は幸せだ。」的な意味だ。世界を見て、何も感じられない人は多い。景色が美しいだとか、人が綺麗だとか、そういったレベルを超えて、日常に美しさは溢れている。そしてそれを見いだせる事は、非常に幸せだ。

余談だが僕は基本的に英語は英語で理解し、日本語は日本語で理解しているので、それらを双方向で変換出来る人は凄いと想う。意味は分かって理解出来ても、もう一方の言語で説明はできない。そんな感じだ。

ぼんやりと眺めていると、近くに居た男性に声をかけられる。日本人で、こちらも一人旅をしているらしい。少しだけ話をして、暫く同じような流れで作品を見たりしていた。

091025_152901

歴史博物館的な部分も有る。その辺りは適当に見て流す。にしても、中々展示の仕方が上手だった。

091025_160306

091025_160352

大量の頭。気味悪くて好いね!

091025_160837

すべてを見終えて、外へ。雨は激しさを増していた。傘を差しながら歩く。

僕は街にある美術館を回る心算で居たのだが、話の中で先程の方と行く事になった。若しくは、同じ方向に歩くので取り敢えず出たのだったか、既に記憶が曖昧になっている。

そして街へと向かう。街の至る所で大きな水溜まりがあり、車の通るたび大きな水飛沫を飛ばしていた。道路端を避けながら歩く。

地図を見ながら何とかThe Glasgow School of ArtとCenter for Contemporary Artsに到着したのだが、両方共閉まっていた。月曜じゃないのに、なんで…。と想いながらも、閉まっているのは仕方の無いことなので、諦める。

その後は何処か行く当てが有った訳でもなく、尚且つ雨は止みそうに無い状態だったので、ホステルの方向へと向かうことに。腹が減っていたので、途中でサブウェイに寄り、昼食を取る。其処まで一緒に居た日本人の彼とは、其処で別れた。

ホステルにはネットが無いので、其処で次の目的地を考えたりする。

適当な時間になってホステルに戻り、日記を書いたりで時間を過ごし、夜になる。

就寝時刻は深夜一時か二時頃だった。