十一月三日、マレーグ、フェリー、スカイ島
朝、朝食を済ませ、十一時半頃にホステルを出る。
十二時十二分の電車に乗り、マレーグ、Mallaigへと向かう。
電車から見える景色が最高に美しかった。が、写真どころではなく目に焼き付けるのに必死だったので、画像はぐちゃぐちゃである。
連なる山々。幾つもの沢が、滝が山を流れる。麓には湖と、小さな浮島が見え、木々が伸びている。右を見ても左を見ても、美しい風景が広がり続けている。
景色が開け、海が見える。遠くに島々が見え、左右には丘が延びる。手前には幾つかの家が並び、丘の緑には点々と、羊や牛が草を食んでいる。
曇り続けていた空が、急に開けた。
空は途端に青く輝き、世界は光で満ち溢れて行く。水は踊り、木々は光り輝く。
長い間、雲に閉ざされた世界しか見ていなかった様に想う。少なくとも、此処まで強く輝く陽の光は、暫く目にしていない。
抑圧と解放。精神的コントラスト。色を手に入れた世界は目に眩し過ぎる程で、感動を呼び起こす。芸術的、センセーション。
有名らしい橋。ハリーポッターで使われたとか。綺麗なアーチを描いている。
水位が異様な程に高い。実際この時点で洪水を起こす手前だったらしく、この一週間程後、イギリス、スコットランド、アイルランドの地方で大規模な洪水が起こった。
久方ぶりの日差し。
とは云え依然として天気は安定しない。
Mallaigの駅に到着。十四時頃。
写真はどうしようもないが、実際の景色は、本当に心の底から美しいと感じた。山々、湖、沢、空、海。あの景色を描写することは、僕には出来ない。
港のフェリー乗り場まで歩き、チケットを購入する。
フェリーの時間まで間隔が有ったので、少し歩く事に。
標識には英語に加えゲール語(多分)で表記がなされている。
Mallaigは本当に小さく、村に近いかも知れない。少し歩けば直ぐに町を外れてしまう。奥に見える島が、スカイ島、多分。
特に行くあてもないので、ふらふらと歩く。
遠くの空に日差しが射すのを見た。その一体だけが黄金に輝いている。
別の空には、低く、冷たそうな青い雲が見えた。何処か幻想的である。
そんなこんなでフェリーの時間になり、乗り場へと戻る。風が強く、比較的暖かい格好をしていたのだが、非常に寒い。
十六時発のフェリーに乗り込む。片道£2.85。
フェリーに乗り込む時から、近くに居たスカイ島在住のおばさんと話をしていた。庭師をしている事。苔が好きだと云うこと。八年前に事故で首を痛めてから長時間車に乗れないこと。旅をするのは良い事だと云うこと。他にも色々と話しをしたり、聞いたりした。
遠くの空は嵐の様に見える。
荒々しくも美しい空だった。
フェリーは無事に着いたのだが、実はフェリーは十五分ほど遅れていた。そして、町まで向かうバスはもう行って仕舞っていた。普通であれば「あ、詰んだ」と云う感じなのだが、この時は幸い、このおばさんが居たので助かった。彼女の旦那さんが港まで迎えに来ていたので、僕を乗せてホステルのあるKyleakinまで送ってくれる事になったのだ。
本当に、何が有るか判らないものだ。若しこのおばさんと話をしていなかったらどうなっていたか判らない。バスはないし、タクシーも無い。港から車が出てしまえば誰も居なくなるような場所だし、歩ける距離でも無い。まぁ其れは其れでなんとかなっていたのかも知れないが、あまり考えたくない物だ。
何はともあれ、無事にホステルへと着くことが出来た。因みに港からKyleakinまでは二十分ほど掛かる。わざわざ送ってくれて本当に有り難いと感謝した。
チェックインを済ませ、ラウンジで少し寛ぐ。そして気付くとロンドン在住のオーストラリア人二人と、モノポリーをしていた。一時間半ほど遊んで、一人の勝ちが確定した当たりでやめた。
その後夕飯を取り、夜はネット。一時前に眠る。